カチャ



テーブルの上にどんどん朝食が運ばれる



「いただきます」



温かいスープ
香ばしいパン


一流のシェフにしても



この冷たい心を温めることはできない



「ごちそうさま」



「紅茶とミルクの用意が出来ていますが
どちらになさいますか」



「ミルク」



「かしこまりました」



むかしから

朝はミルクなのよね



「お父様はいつお帰りになるか
聞いてる?」



「・・・
いえ」




「そう」




そうよね
帰る日なんて
連絡来るはずない





なにを期待してたんだろう




「今日はどちらか行かれますか?」




「町へ出るわ」

好きなとこ
好きなときに行けない


することないのに


どうせいなくなるの待ってるんでしょ



「車を用意させましょうか?」




「町なんて家の裏じゃない
いいわよ」




「しかし」