チェリー



「なぁ、しのぶくん」

「ん?」

「俺な、謙太郎くんも…」

「ん~…謙太郎は謙太郎で迷ってるんやと思う。どっちとも不器用やしな」

「そやけど…」

「あれは運命の相手やと思うし、うん…時間が解決してくれると思うけどな」

「時間か。ほんま、見守るしかなさそうやね」

「おん」

「にしても、ヤキモチ作戦は成功とちゃうの?」

「そうやな」

しのぶくんがフワリと微笑んだ。






「謙太郎ちゃん…ごめんなさい」

「え?」

「わがまま…言ったから」

「は?」

「彼女さんとおったんに。私が…」


「えぇねん。俺はお前を優先する。大切やねんから」

「…謙ちゃんの妹分やしね」

「妹分って…でもまぁ、そうやな。もっと可愛い妹が良かったけどなぁ」

「ひどッ!!」

謙太郎ちゃん?
私ね、謙太郎ちゃんのこと一人の男としてしか見れないよ。

謙太郎ちゃんにガキ扱いされて、妹扱いされても大好きなのは謙太郎ちゃんだけなんだよ。

彼女に愛の言葉を囁かないで。
その言葉を私にちょうだい…。

「じゃ、ありがとう。おやすみなさい」

「あ、詩織。心配やから夜にあんま出歩くなや」