チェリー

「じゃ、準備しとけや」

「おん」

只今の時刻、もうすぐ24時。
明日は学校を休むと思う。

「詩織ちゃん、ごめんなぁ」

「ええよ」

「秀も強引やねん」

「でも皆優しいやん?私に気使って…」

「そんなんちゃうよ」

「え?」

「俺ら皆、詩織ちゃんのこと大好きやねん」

「ありがとう」

勇太くんを初め、メンバーの皆は私が落ち込んでたりするとすぐに気が付いてくれる。
ほんま有難いな。

「あ、皆かなり酔ってるから気をつけるんやで」

「はーい…あれ、勇太くん飲まへんの?」

「飲むよ。車は事務所のやし」

「もしかして、私から電話あるかもって待っててくれた?」

「ちょっとな」

勇太くんが少しだけ恥ずかしそうに笑う。

なんか自惚れやけど、愛されてるなぁって感じる。
皆、私の気持ちを知ってるからやけどな。

「詩織ちゃん連れて来たで~」

私も行きなれてしまったメンバー馴染みの店。

「しのぶく~ん」

と、私の指定席であるしのぶくんと恭介くんの間に座る。

「なんでしのぶの名前しか呼ばへんねん!!」

「愛の大きさの違いや」

「しのぶのが好きなんか」