チェリー

しのぶくんと恭介くんは本当にお兄ちゃんみたいで大好きだ。

なんとなく、しのぶくんに電話をかける。

「はい」

「あ、詩織ですけどー」

「何かあった?」

「今大丈夫?」

「今皆で飲んでる。だから大丈夫やで」

後ろから丸ちゃんの声が聞こえる。
丸川修。
これまためっちゃええ人や。

「謙太郎ちゃん、今日何て言ってそこ断った?」

「眠いからって」

「あはは、そうなんや」

「え?」

しのぶくんは私に対して何を言ってんのや、みたいな声を発する。

なんで嘘ついたんやろ…そう思ったとき、電話の相手が変わる。

「詩織」

「秀ちゃん?」

「勇太が今から迎えに行くから来い」

「は?明日学校…」

「そんなん知るか。休めや」

「私、3年生やし。今、めっちゃ大事な時期なんやけど…」

「知るか」

「ん~…」

電話は勇太くんに変わる。

「詩織ちゃんが来るんなら迎えに行くで?帰りもちゃんと送るし」

「しのぶくんに変わって?」

電話の向こうで、しのぶくんに変わる声が聞こえる。

「なに?」

「しのぶくんの意見として、私は行くべき?」

「来たら楽しいんちゃう?」

「じゃ、行く」