チェリー

「謙太郎ちゃん?」

「俺、詩織が好きやねん。俺は、詩織が大人になるまで…待とうと…なのに、」

謙太郎ちゃんが、私の腕を引っ張って私は謙太郎ちゃんの胸の中。

「和也、こいつは俺のや」

「知ってるわ」

「え?」

「俺、詩織ちゃんにフラれたねんもん。後は二人でやってや」

和くんは楽しそうに帰って行った。


「謙太郎ちゃん」

「うるさい」

「謙太郎ちゃん…めっちゃ大好きやで」

「俺は愛してるわ。アホ」

「ありがとう」


謙太郎ちゃんにギューッと抱き締められる。



好きだよ。

大好き。

好き、好き


大好き…。


何回言っても足りないくらい大好き。





「謙太郎ちゃ~ん」

「ん~」

「デートしよ」

謙太郎ちゃんの腕を強く引っ張ってみる。

「してるやん」

「ここ家やん」

謙太郎ちゃんは面倒くさそうに私を見下ろす。

「それでもデートやん?」

「アホ」

「はぁ!?」

もう一言攻撃してやろうと思って暴言を吐いてみる。

「おっさん」

「なっ!!」

「でも、それでも好きやで」

「…アホか」


私は謙太郎ちゃんの背中にピッタリくっついて、目を閉じる。

何年経っても、私のNo.1は謙太郎ちゃんだけやで。