チェリー

遅刻して学校へ行くと、休み過ぎやとか遅刻し過ぎだとか怒られる。

遅刻は私のせいやけど、休みは私のせいとちゃうもん。

なんて、軽い言い訳を口には出さず頭の中で呟く。



「詩織もアホやなぁ」

「起きたら9時やった」

「目覚ましは?」

「…目覚ましって何ですか?」

「うわ~、最悪や。こいつ」

「あはは」

学校は好き。
気の合う仲間がたくさんいる場所。
だけど、皆、私がトップアイドル謙太郎ち達と知り合いなのは知らない。

「詩織、携帯なってんで~」

「電話?」

「おん。えっと、アホ?」

「アホ!?」

私は急いで電話に出る。

「なんやねん!!」

「え、怒ってる?」

「今、学校」

「あーそーぼっ」

「話し聞け」

「せやから放課後」

和くんからの電話。
私は、和くんからの誘いを何故か断れない。

「嫌」

「え~?遊ぼうやぁ!!」

「可愛い子ぶんな」

「え~、それは勇太やん」

そんなん言ったら勇太くんが可哀想やろ。

「あなたと一緒にいて私が得る利益を教えてください」

「利益?うーん…俺の隣り歩けるんやで?優越感にひたれるで」