謙太郎ちゃんに体を揺すられて、何か他の言葉を発しないと、と思った。
「あー…仕事大変やね」
「いや、意味わからへん。てかなんでお前ここにおんねん」
「…ずっと、謙太郎ちゃんに会ってなくて寂しかってん。で、来たら部屋汚くて掃除しといた、から…」
「おい、詩織!?」
私は眠たくてまた眠りにつく。
寂しかった、なんて言わなくても良いことまで口走ったことは朝起きてから気が付く。
「ん~…」
次に目が覚めたのは次の日の9時過ぎ。
謙太郎ちゃんはいなくて、学校も始まってて最悪。
机の上の置き手紙に目をやる。
その瞬間に昨日の言葉を思い出すけど、あえて触れない。
「アホか。今度来る時は連絡しろ。仕事行くから、鍵ちゃんとしめてな。煮物、おいしかったで」
呼んだ後、その紙を捨てようと思って手に取ると、裏にも何かかいてあるのに気が付いた。
「え、」
そこには
『俺も、詩織に会えへんのは寂しいで』
と書かれていた。
謙太郎ちゃんの口癖は「アホか」で、絶対に言わないのは甘い言葉。
それは、私がもらった謙太ちゃんからの初めての甘い言葉だった。
「…捨てずに持ってるか」
「あー…仕事大変やね」
「いや、意味わからへん。てかなんでお前ここにおんねん」
「…ずっと、謙太郎ちゃんに会ってなくて寂しかってん。で、来たら部屋汚くて掃除しといた、から…」
「おい、詩織!?」
私は眠たくてまた眠りにつく。
寂しかった、なんて言わなくても良いことまで口走ったことは朝起きてから気が付く。
「ん~…」
次に目が覚めたのは次の日の9時過ぎ。
謙太郎ちゃんはいなくて、学校も始まってて最悪。
机の上の置き手紙に目をやる。
その瞬間に昨日の言葉を思い出すけど、あえて触れない。
「アホか。今度来る時は連絡しろ。仕事行くから、鍵ちゃんとしめてな。煮物、おいしかったで」
呼んだ後、その紙を捨てようと思って手に取ると、裏にも何かかいてあるのに気が付いた。
「え、」
そこには
『俺も、詩織に会えへんのは寂しいで』
と書かれていた。
謙太郎ちゃんの口癖は「アホか」で、絶対に言わないのは甘い言葉。
それは、私がもらった謙太ちゃんからの初めての甘い言葉だった。
「…捨てずに持ってるか」


