チェリー

「返事は?夜になるんなら俺が迎えに行くから」

「…分かった。ありがとう。謙太郎ちゃん大好きやで」

「いきなり何言ってんねん。じゃ、おやすみ」

「うん。おやすみ」

謙太郎ちゃんは、私の言葉を軽く流して帰って行った。

帰った先には謙太郎ちゃんの最愛の人が待っている。
私に勝ち目なんてない。

それから、寝て起きてを繰り返して一週間が経った。

謙太郎ちゃんとは一回、メールをしただけ。
今日は謙太郎ちゃん家に煮物のタッパーを取りに行く日。

貰った合鍵で中に入る。

「うわ、汚い…」

部屋に入ってびっくりする。
ドラマ中だし、忙しいから仕方ないのかもしれないけど…。

私は、掃除もして行くことにした。

「あー、洗濯物まで…」

結局、全部終わったのが10時過ぎで面倒になって謙太郎ちゃん家に泊まることにした。

どうせ謙太郎ちゃんは帰って来てもシャワー浴びるだけが一眠りするだけやと思うし。



「詩織!?」

「え…」

「何してんねん」

「え、あ、謙太郎ちゃんかぁ。おかえりぃ」

「おかえりぃ、やないわ。今3時やで?」

謙太郎ちゃんの言葉にボーッとしていた頭が目覚め始めた。