開くとそれは、ズボンを履いた小さな男の子と、男の子より背の高い、スカートを履いた女の子が手を繋いでる絵だった。




男の子の横には『りょうへい』、女の子の横には『かおりおねえちゃん』と書かれていた。





「その頃の俺が、書いたんだと思う。」



彼女に渡すと、絵を見つめたまま動かない。






「あの時の男の子が… 良平くん?」




しばらくして、やっとそれだけ呟いた。





「あの頃、母親が出て行って、その後バアちゃんが来てくれるまでの間、オヤジと2人だった。…兄弟もいないし。 ここで会ったお姉ちゃんに遊んでもらって、すげー楽しかったのを覚えてる。」






「でも私が親の離婚で、この街を一度離れることになって、お別れしたんだよね。その時良平くん、すごく泣いちゃって…。」



香織さんは記憶の糸をたどる様に、ゆっくりと話す。