「あれ? 良平くん、久しぶり。どうしたの?」



「へへっ、こんにちは。」



久しぶりに、施設へやって来た。



みんな温かく出迎えてくれて、色んな話しで盛り上がる。




「実は俺、今度建設部に異動するんです。前から希望してた部署で。昔からの夢に一歩近づけたんで、ご報告に来ました。」



俺が立ち上がって言うと、拍手がおきた。


みんなが笑顔で、良かったねと言ってくれる。



その気持ちは本当に嬉しかった。




だけど、一番言って欲しかった人は…


いなかった。





異動を告げられた時、すぐにでも香織さんに言いたかった。





でも、「上野さんと付き合えばいい」なんて言っておいて、ノコノコ電話も出来ない。




だから今日に望みをかけて、施設に来たのだけれど。




そう甘くはなかった。




てか… 俺さ、全然ふっきれてねーじゃん。




これが、彼女のために一番良いって思ったんだろ?