トゲトゲ

ではでは
回想スタート!


「ねぇねぇ」


「・・・・」


「お−い」


「・・・・」


「し〜ちゃぁん?」


そう言いながら
あたしを覗きこむのは
今日編入してきた
咲元淕斗。

し〜ちゃぁんって
誰の事ですか?
って言ってやりたい
くらい馴れ馴れしい。



「聞こえてる〜?」


あぁ、もう!

ノートをせっせと
取っているあたしに
しつこく言いよってくる
この男にもう限界!

「何?!何か用かな?!てか何で隣の席にいる訳?!」


そう。こいつはあたしの
斜め後ろの席。
のはずが!
隣にいる!

「え〜。だって夏いないんだもん」


あっそ!
だからって何で
わざわざそこに来るの?!

授業に集中できない!

「あ〜今、授業に集中できないって思ったでしょ〜?」

「え?エスパー?凄いね!」

て・・・
じゃな――いっ!

「そうだよ!集中できないから自分の席戻ってくれるかな?!それが嫌なら少し黙ってくれる?」


「・・・・・」


は?
何?
頭おかしくなっちゃった?
咲元淕斗は急に黙ったと
思ったら指で何かを
数え始めた。

「・・・7、8、9、10〜♪あはは〜エスパーってし〜ちゃんおもしろ!」


え?は?

10までいったら
また何事もなく話だす。

「あたし席戻れって言わなかった?それか黙れって」

「うん。言ったよ!だから黙ったじゃん10秒」


「はい?」


「だから〜。少し黙ってくれる?って言ったから10秒黙ってたじゃん!」


はぁあぁあぁ!!!???

10秒って何!

確かに少しって
言ったけど!
言ったけど!

「10秒だけなんて言ってない!もう、ずっと黙ってて!」

「俺の事キライ?うざい?」

うはっ!
そ、そんな可愛く首
傾げてもダメだし!

ダメだけど!

「きらいじゃいし。うざくもない」

「やったぁ♪」

ぎゃぁ!!

可愛い〜!

あんな顔されたら
何も言えない!


ずっとこんなんの
繰り返しばかり。