「・・・・」


「おい、大丈夫か?」

金髪男は
黙って俯いてる
あたしを覗きこんで聞いてくる。

ファーストキスが・・・・

ファーストキス
だったのに・・・・

キッと金髪男を
睨み付けた。

「キス泥棒!!」

止まった涙が再び
流れ落ちる。

最悪!

ストーカーされるし
おまけに
ファーストキスまで
奪われた!

もう、運悪すぎ・・・


「は?何まさかお前ファーストキスだった訳?」


「悪かったわね!」


「ふ−ん。ファーストキスごちそうさま」

馬鹿にしたように
言う金髪男に余計に
腹がたった。

何なのよ!

「最低!ファーストキスは好きな人とするものなのに・・・」


あたしの
ファーストキスは
王子様と夜景をバックに
ロマンチックなキス
するのが夢だったのに。

それが
こんな名前も知らない
奴となんて。

「今時、王子様なんていねぇって」

「な!?」

「声に出てたから。ロマンチックなキスね〜。でも俺とする方がよかったろ?」

「よくない!」

「お、お前なんなんだよ!ボクのこと無視するな!椎那たんを返せ!」
「あぁ?まだいたのかよデブ。さっさと失せろ。こいつは俺のなんだよ」

ギロリて威圧的な目で杉山次郎を睨んだ。

金髪男ちょーこえぇ!!!

「ひぃいぃい!!ぼ、ボクは椎那たんの口からきくまでは諦めないぞ!」

杉山次郎は少し後退ったがまだ引かない。

なぬっ!

金髪男はチラリとあたしを見た。
くっ
ここは仕方ない・・・・

「デブ・・・・じゃなくて杉山くん悪いけどあたしこの人が大好きなの」

あたしの言葉に泣きながら杉山次郎はいなくなった。

「じゃ、あたしはこれで」

「待てよ、お前1年だろ?職員室の場所どこか教えろ」


ピッキ―ン。

「あたしは2年だっつ―の!!」

誰が1年よ!

どっからどうみても2年でしょ!(見えない)

あたしは職員室の場所を
教えずに屋上を後にした。