そんな言葉を残して雄ちゃんは一人帰って行った。
負けたくなかった。
サッカーにも、あんなことを言った雄ちゃんにも。
この時すでにシュウ君がこの町に引っ越しして来て4年の月日が流れて
雄ちゃん達は5年生に、あたしは3年生になっていた。
雄ちゃんには言えないことも、みんなみんなシュウ君に相談していた。
シュウ君の声はずっと変わらずに優しい声のままで。
「お兄ちゃん!!」
公園でシュウ君と二人。
沈黙が続いて嫌な雰囲気のときにいきなり聞こえた声。
でも、どこかで聞いた声に似ていてスーと目を閉じた。
振り返るよりも先に。
だってあまりにも優しくて穏やかな声だったから。



