いつもとなりにはキミがいた




雄ちゃんはあたしの頬っぺたを大きな暖かい両手でいきなり包みこんだ。



「なに怒ってるねん。最近窓から俺の事も見てないし」



そう言ってあたしの頬っぺたから手を離す。



まるで頬っぺたにカイロがあったみたいに熱を持っていた。



「‥別に怒ってないよ。それに窓なんて気にして見てた訳ちゃうし、てか、あたしだって委員会とかあって忙しいんやから」



「あ〜そうですか〜。俺には毎日楽しそうに窓覗いてるように感じたけどな。 それよりおまえさ、なんで試合の後俺がおる控室こんかったん?」



ギクッ‥‥今一番触れられたくない話題に触れられて



あたしはアタフタするしかなかった。



でももし雄ちゃんに‘あの女の子はダレ?’って聞いたら楽になるかな?



‥‥なんて考えたりもしたけど、そんな勇気がないあたしはただその場に立ち尽くす事しか出来んかった。



だってもし雄ちゃんに‘あぁ、あれは俺の彼女やで’って言われるんじゃないかと思ってそれどころじゃなかった。