「こいつ、ミホ」
そうぶっきらぼうに隣に居るあたしを指さした。
「‥‥‥‥‥」
あたしは雄ちゃんの後ろに少し隠れるように後退りをした。
「おい、ミホ?」
「‥うん、 ミホ、です」
急かした雄ちゃんにいらいらしながらも
精一杯頑張って発した言葉だった。
「‥‥‥俺は、シュウ。 よろしく」
そう言ったシュウ君の声は優しくて穏やかで、こんな声で子守唄を歌ってもらうと凄くぐっすり寝れるんだろ〜なと思った。
でも、そんな会話は雄ちゃんの『じゃ。俺らサッカーするから!! またなミホ』と言った声で終了してしまった。
いきなり呼び出しておいて、用が済んだらもう終わり。
みたいな雄ちゃんにいつも振り回されていたのは言うまでもないことだ。



