うちは颯のもっとった煙草の箱を颯の手の上から握りつぶした。


「…俺の煙草に何してくれてんだ」


「この学校で煙草はアカン!」


「…何でだよ。向こうの学校では普通に吸ってたのによ」


「うち、この学校で族っちゅう事隠して生活しとるんや」


「…だから何だよ」


「せやから危ない事せんといてや。何かの拍子にうちが族だって事バレたら嫌なんよ」


「……」


うちがそう言うと颯は黙り込んだ。


「……」


「な?」


「……あぁ」


「ホンマか?!」


「あぁ。……それよりよ、」


「ん?何や?」


「早く手、離せよ。俺はいつまでも女と手を握り合ってる趣味はねぇんだよ」


「…あぁ、せやな。すまんすまん」


うちが颯から手を離したと同時に、


「そこの二人、さっきからうるさいですよ」


担任に注意された。