この辺りは、人気はないけど、家や街灯が多いから、夜道でもそれほど怖くない。 「それにしても、痛い…」 歩きながら、自分が足袋のまま出てきた事に、今頃気付いた。 アスファルトとはいえ、ほとんど裸足みたいなもの。 歩きながら、足の裏が痛くなってきた。 「でも、歩かなきゃ」 早くタクシーを…。 そう思っていた時だった。 「そうまでして、家に帰りたいのかよ」 後ろから聞こえたその声に、心臓が止まりそうなくらい驚いた。