『蒼色の瞳の猫』

なのに、あたしの口から出たのは、
心とは裏腹だった。

『…そう、良かったね。
あたしも一人暮らししたいって思ってたから…』


あたしは、捻くれ者だ。


自分の寂くて、悲しくて、つらい心を、
嘘で塗りつぶそうとしている。


『でしょ!?海美は一人暮らししたそうな
顔してたから、お母さん、もう住む場所決めちゃった!』


…え。

瞬間、あたしの顔は凍りついた。

けど、顔に極力出さないように笑顔を崩さず、
こう言った。

『…ありがとう。
お母さん、相手の人と幸せにね?』


…泣きだしたかった。

嘘だと思いたかった。

お母さんが、あたしを捨てようと思ってたなんて。

でも、あたしが切り出さなければ、多分
もっと悲しい別れになるって分かったから。


だから、あたしは笑った。
生まれてきてから一番とびっきりの笑顔で。