輝空-koukuu-

さんざん遊びつくした夕方。

みなみと佑が先に帰ってしまって、私と武二人になってしまった。

私と武は、さっきと同じ縁側に座って、美しい夕日を眺める。

幻想的なオレンジ色に輝く夕日。

それはまるでみかんのように見えて、おなかがすいてきた。

「おなかへったぁ~」

「・・・は?お前、さっきアイス二本と弁当3つ食べてたよな?」

「あんなのすぐに消化されんだよ」

「あっそ」

武はバタッと後ろに倒れた。

そして、つぶやいた。

「・・・帰りたくないな・・・」

「そうだね。私も、あんな都会に住みたくないな・・・」

私達はふうっとため息をついた。

「・・・かけおちでもするか?」

武の冗談に、私は爆笑した。

「あはははは!何言ってんの」

「いや、マジで!俺、そういうの憧れてたんだよなぁ~!」

「確かに、ちょっとやってみたいね」

夕日が、ちらりと光る。

「・・・自由になりたいな・・・」

武は結構たくましい体をぐいっと起こした。

「俺の家・・・結構金持ちでさ。俺の将来とか、小さい頃から決められてて。」

「将来?」

「うん。政治家にならなくちゃいけないんだってさ。」

政治家

聞いただけで吐き気がする・・・。

「でも、俺・・・そんなのになりたくなかった。だから、親に反抗したんだ。でも、受け入れてくれなくて・・・結局家出したよ」

ふーん・・・

としか、言いようがなかった。

「今、友達の家にいるんだけどさ・・・なんていうか・・・辛い」

武は膝を抱えた。

「自分の人生を自分で決めるってことは、そんなにだめなことなのか?」


びっくりした

いつも元気な武が、こんなこと言うなんて


「だめなこと・・・じゃないと思うよ」

私の声に、武はそっと顔を上げた。