輝空-koukuu-

私、みなみ、武、佑の四人は、80円のミルクアイスを買うと、いつもの家に向かった。

いつもの家とは、70歳の富おばあちゃんが住んでいる家のことだ。

とても大きく古い屋敷で、コンビニ5つぶんくらいはある。

月の山町に来る子供たちのほとんどは、この家に遊びに来ている。

「こんにちわ~!」

私達四人組は、声を張り上げながらガラガラとドアを開けた。

すると、奥からどてらを着たやさしそうな白髪のおばあちゃんが出てきた。

富ばあちゃんだ。

「あらあら、いらっしゃい!」

富ばあちゃんはとても可愛らしい笑顔で私達を迎えてくれた。

隣の家のおじさんの話によると、富ばあちゃんは若い頃モテモテで、一年間に平均10回告白されていたらしい。

「まぁまぁ、また今日もかわいい格好ねぇ!」

富ばあちゃんはみなみの頭をほわっと撫でた。

「とても似合っているわよ」

するとみなみは、白い雪のような頬をりんご色に染めた。

「ありがとう!」

・・・さすがハーフ。かわいいなぁ~・・・

いいなぁ・・・私、お母さんに似たかった・・・・

私達は広い縁側に腰を下ろした。

「あぁ~、うめぇ!このアイス最高だよなぁ」

武はものすごい速さでミルクアイスを食べている。

「うん、くさやの後は最高だわぁ」

私がつぶやくと、武はまた顔を青くした。

「お前・・・女だよな?」

「うん。アレついてないし」

「そっか、そうだよなぁ・・・アレのついでに胸も母ちゃんの腹の中で付け忘れ・・・」

ドカン!

「わあっ!急に殴るなよ、朱音・・・あぁ~っ!アイスが床に落ちたじゃねぇか!」

武は涙目になって叫んだ。

「あーオメデトーゴザイマス」

私はわざと憎たらしく言ってやった。

「このやろ~~~!!!」

「フンッ、もう一回買って来い!ついでに私の分ももう一本☆」

すると武は私をキッとにらんで走り去った。

「このくさや女!!」

「くさや女で結構ですよぉ~!」

だってほんとにくさや女だもん。