私の愛した人

「マ、マリア…。部屋に入るときはノックしろっていつも」

「あーら、ごめんあそばせ?
わたくし、この家の住人ですがお邪魔でしたか?
それとも部外者かしら?」

圭吾の言葉に上乗せするように彼女の口からは、皮肉と嫌味のマシンガントークが炸裂する。

顔に似合わず、性格はとてつもなく黒い。

美しい陶器のような肌を輝かせ、ふんぞり返り私達を見下す彼女。

そう、まさに女王様。

あるはずのない黄金の冠が彼女の頭に輝いて見えた。

「そうじゃなくてね?今は…」

「お楽しみの時間をわたくしが邪魔をしたとでもおっしゃるの?
わたくしがそんな無粋なまねをすると思っていらっしゃるの?
なんて失礼かしら!
わたくしへの侮辱だわ!冒涜だわ!」

きんきんと頭に響きそうになるほどの、彼女の声に私は身を起こした。

「…お邪魔してます。私、雪村桜です…」

「ほんっとーにお邪魔していらっしゃいますわ。
なんですかその着崩された服は!
女性としてはしたないですわっ」

金切り声に耳を痛めながらも、自分の服装を見る。

さっきまで寝そべっていたせいか、スカートがめくれ。

圭吾が頭を擦り付けたせいでシャツのボタンが外れ、少し肩が見えている。

さらには髪だってグシャグシャだった。