私の愛した人

笑って五島さんが出したケーキを御冬さんが横から奪った。

「あら、ちょうど甘いものが食べたかったのよ」

椅子に脚を組んでくつろぐ彼女は、まだ一度も動いていない。

「私のためのケーキじゃ…?」

「あら、能無しは黙って訓練受けてなさいよ」

私ように置かれたケーキの苺をつまんで、口にほおりこむ御冬さんは幸せそうな顔をした。

━━この女、悪魔だ…

「ほらっもう一回いくぞー!」

そして悪夢のように可憐の特訓が続行される。












「桜?最近疲れてないか?」

圭吾が私の顔を覗き込んだ。

「そんなことないよー?圭吾からエネルギーもらってるもんっ」

私は圭吾の腕に抱きついた。

笑ってはいるけど、実際彼の腕を掴む私の腕は筋肉痛で激痛が走る。

身体中、全身がバッキバキに筋肉痛で歩くのにも一苦労だ。

「でもなんか辛そう。」

圭吾は眉を下げ、悲しそうな顔をして私の頭を撫でた。

サワサワと草が擦れあう音がする。

私たちは今、圭吾の家の裏にいる。

草の匂いと花の甘い香が私をゆっくりと癒す。

寄り添う彼からもほんのり甘い香がする。

「大丈夫。こうしていれば大丈夫だから」

彼の肩にもたれると私を強烈な睡魔が襲った。

あらがうこともできずに私は眠りに堕ちてしまった。