私の愛した人

しばらくするとバイクは街を離れ、山のなかに入っていった。

「どこまでいくの?」

私が可憐にたずねても返事が帰ってこなかった。

かわりに御冬さんが答えた。

「もうすぐよ。いい加減おしゃべりやめないとその口縫うわよ?」

初めてあった時と変わらない脅しに私は口をつぐんだ。

そのまま進んでいくと、山のなかに不気味なトンネルが出てきた。

私が気味悪がっているのをよそに彼女達は迷うことなくその中に入っていく。

冷たい空気と風に少し凍える。

中央辺りまできた頃だろうか?

彼女達はバイクを止めた。

御冬さんがバイクから降りてなにやら壁をいじり始める。

何かのスイッチ音のようなものが聞こえると、私たちの立っている地面が沈み始めた。

薄暗いトンネルのなかではまるで闇に飲み込まれていくような気分になる。

━━怖い…

不安が強すぎて誰かに声をかける余裕もない。

私は無意識に可憐に強く抱きついていた。

「桜?心配しなくても危険はないぞ?」

のんきな可憐の声を聞いても私はまだ安心できない。

完璧に地面に沈み、もといた位置の地面が閉じてしまった。