私の愛した人

「このネックレスは飾りの十字架がリモコンがわりよ。横棒の右側を押すと会話機能。左側は発信機能が作動するわ」

御冬さんがボタンのように十字架の横棒をカチカチと押した。

意外と簡単な操作方法に少し安心する。

「じゃあそろそろ行こうか」

五島さんはまた窓枠に足をかけて私たちに声をかけた。

「え、こんな時間に?」

「話してる余裕はないわよ?」

御冬さんが私を軽々と持ち上げた。

「えっ?えっ?」

私は訳が分からない。

「じゃ、お先に。」

「次は私だな!」

背後から五島さん、可憐の順で声がした。

「行くわよ?」

御冬さんの一声が合図に私の視界は、見慣れた部屋から夜の暗闇へとかわる。

まるで後向きにジェットコースターに乗ったみたいに強い風が吹く。

あっという間に地面について、御冬さんが私を降ろした。

急な振動や衝撃に私は少しふらついてしまった。

「あんたは可憐の後ろに乗りなさい」

背中を押され可憐のバイクの後ろに強制的に私は座らされた。

「危ないからな!」

ヘルメットを少々力任せにかぶせられ、行き先も教えられることもなく私たちは走りだしていた。