「楽しいデートは終わりかしら?」

そこには器用に窓枠に腰掛けている御冬さんがいた。

「御冬さ…!?どうやってここに!?」

「あら、失礼ね。私はお客よ?いつまでこんなとこで待たせるのかしら?」

たしかにそれはそうだ。

この窓枠は少なくとも5。

窓は閉まったままなので、それよりも幅が狭い。

むしろよくそんな場所に座れたものだ。

「い、今開けますっ」

「あら、よくってよ?鍵を開けてもらえれば。下手に動かされて落ちたら怪我してしまうわ」

━━…それもそうだ

鍵を開けると御冬さんは器用に窓を開けて、猫のようにスルスルと部屋に入ってきた。

「ったく。アンタって本当鈍臭いわねぇ」

「入って早々一言目がそれですか!」

「あたりまえでしょう?
こっちは親切に手紙まで渡して暗号をメールしたのよ?気付かないバカがどこにいるのよ?」

御冬さんは持ち前のスタイルがよく目立つ黒のライダースーツをキュキュッと音を立てながら座った。

「そ、それはすみませんでした…」

「まったくよ!可憐や五島を振り切って単独行動をするのは骨が折れるのよ?」

━━これはいつまでもしつこく根に持つタイプだな…