しばらくすると、日もくれて辺りは真っ暗になった。

まわりに街灯がほとんどないせいか、今まで見たことがないほどの量の星が空に輝いていた。

圭吾はその星々を指でなぞって星座の話をしてくれた。

圭吾はいつも私の知らないことをたくさん教えてくれる。

私はそんなひとときがとても愛おしく感じた。

「もうそろそろ遅いし、暗くなってきたから帰ろっか?
家まで送るよ」

圭吾は私の手を引いて立ち上がり、教会の前で待っているように言うと自転車を取りにいった。

教会の前で待っていると、すぐに圭吾が自転車を押してやってきた。

「ほら!乗って」

圭吾にうながされて私は自転車の後ろにまたがる。

「乗った?じゃあ行くぞ?」

しっかりと乗れているか何度も確認すると、圭吾は自転車のペダルを漕ぎはじめた。

急斜面な丘の上からもうスピードでかけおりる。

草の匂いと菜の花の香りが私たちの頬をくすぐった。

いつしか私たちは大きな声で笑っていた。

楽しい時間はあっという間で、すぐに家についてしまった。

私は圭吾にさよならを言うと彼は私の頭を撫でた。

幸せの余韻に浸りながら自分の部屋に入っていくと、窓の外から何かの気配がした。