「けーいごっ!一緒に帰ろ!」

私、雪村桜は日暮圭吾の恋人。

圭吾と私は桜葉高校一年の時に出会った。

圭吾に一目惚れした私は、勇気を振り絞って告白をしたらOKされたのだ。

私と圭吾は今高校二年生。

明日で五ヶ月目の記念日を迎える。

「悪いな?今日は無理だ」

圭吾は片手をあげて走っていってしまった。

「えー!」

私が大声で言う。

「悪いッ!」

遠くから圭吾が返事をした。

むくれて教室の窓から駐輪場を見下ろした。

私のいる階は四階。

ついさっきまでこの階に圭吾もいたはずなのに、もう駐輪場にいる。

瞬間移動ですか?

私は笑った。

「明日は絶対一緒に帰るんだからねー!」

私が大声で言うと、圭吾は少しだけとまって振り向いた。

「当たり前だろ?」

にっと笑って、手を振ってくれる。

圭吾はどんなに急いでいてもちゃんと返事をしてくれる。

そんなふうに優しい圭吾だから好きになったんだけどね!

「まーったく!新学期早々惚気まくってるねぇ…」

私の横で窓枠に肘を突いて遠くを見ているのは、金井優子。私の友達だ。

「えへへー。いいでしょー!」

「全く?」

「やーん!ゆうちゃん冷たーいっ」

「知らないよーだ!」

私たちはいつもと同じように冗談を言って笑いあった。