佐野くんの屈託のない笑顔を見ると、胸がキュンとなった。

「いいえ。どういたしまして。」

私は好きな気持ちを隠すことで精いっぱいだった。
この気持ちを伝えたら嫌われるんじゃないかって、もう口も聞いてもらえないんじゃないかって・・・そんな気がしてならなかった。

関われないんだったら、この気持ち伝えないほうがマシ。
そう思うことにしたのだ。



「ねぇ、美雨。ちょっと来て!」

「えっ・・・ちょっと待ってよ~」

沙羅に勢いよく掴まれて、屋上へと向かった。


「美雨ってさぁ、佐野君のことが好きなんでしょ。」