朱の蝶

どうして・・・?

私には、兄への愛が
足りていないのだろうか?

愛が足りないから、彼等を
憎めない?

彼らを憎めない私は、変?

「チカ、ほらっ
 あそこに、飯
 適当に頼んどいた
 
 お前、腹減っただろう?
 食べろよ」

私の為に、食卓のテーブル
の上いっぱいに注文された
食事の山。

「ほらっ、どれでも
 好きなだけ食べろよ」

テーブルを見つめた浬は
言う。

「セキ、あれ全部
 チカちゃんの飯なのか?」

「ああ、何が好きか
 分かんねえから・・・」

弦は、少し照れて微笑む。