朱の蝶

カイリ・・・

彼もまた、兄の宿敵。

いったいどんな男なのだろう?

一目、見て見たい・・・

話し声が聞こえる部屋の前で
私は息を呑み、ドアに手を
かけた。

その時、玄関のドアが開く音
が聞こえた。

振り返る私の瞳に映るのは
見知らぬ男性の姿。

「あれっ?
 
 俺、間違えたか」

彼は、表札を確認する。

「セキガミ、合ってる
 
 という事は、お前、誰?
 
 セキの女・・・男?」 

「いえっ・・・」

驚く私に、近づく男性は
お酒に少し酔っているのか
ほんのりと、赤くなった頬
焦点の定まらない瞳で
私の事を見つめる。

そして、私の手を握り
居間へと連れていく。