朱の蝶

この生ける世で

永遠に帰っては来ない人を
待つ事ほど辛い事はない

遠い日、残された手紙

たった一行

『お父さん、お母さん
 お兄ちゃん
 
 ごめんなさい・・ユミ』

乾いたシーツに残された
血の模様

朱い羽根を広げ、永遠の
眠りについた妹・・・

俺は、それを
知っていたくせに

俺と同じ悲しみを
誰かに味わわせている・・

俺は、人を殺めたくせに

俺は、生きている