朱の蝶

『セキ、やめろ』

放たれた弾丸は、男の
胸を貫き、即死。

ここからが

地獄の始まり

せせら笑う男の顔が
毎夜毎夜、俺の夢に現れる

その時、俺が見た世界は
歪んでいて、正直、何が
起こったのか、正確には
覚えていない。

確か、奴は即死だったはず・・

男は、俺の夢の中

死に際、涙を流し何かを呟く

微かに、聞こえる声・・・

『帰られへん

 ごめんな』