朱の蝶

俺の存在に気づき、あからさま
に、罰悪そうな顔をする二人

「あらっ、ゲンちゃん
 今からお出かけ?
 
 いってらっしゃい」

俺は、おばさんに軽く頭を下げ
車に鍵を差し込んだ。

そんな瞳で、俺を見るな

あなた達は、真実を話して
いるだけだろう?

それなのに、申し訳なさそうに
この俺を見るのは、やめてくれ

「ねえ、ゲンちゃん
 歩いて行こうよ」

「お散歩しよう?」

「ああ、そうだな」