朱の蝶

「いや、仕事の電話だ」

通話を切る俺を見つめる
愛くるしい瞳・・・

「なんだぁ」

食卓の机で絵を書いている
万桜(マオ)は言う。

「ゲンちゃん、そろそろ
 ママ帰って来るよ
 迎えに行きたいよ」

「チヨも、行きたい
 ねえ、駅まで行こう」

「ああ、分かったから
 二人とも、出かける
 用意しろ」

「行こう行こう」