朱の蝶

「それやったら、親父は
 報われへんのでは
 ありませんか?」

「殺られ損ですか?」

悲しい組員達の顔・・・

「二代目
 貴女のアニキですやんか」

「そうや、セキガミに
 殺されたんは、私の
 お兄ちゃんや・・・
 
 そいつが平気で今この時
 息しとう

 そう思ったら
 ほんま、腹立つわ・・・

 私からお兄ちゃんを奪って
 おいて、たった十年で何が
 刑期や、そんなもん
 死んだもんの時間に比べたら
 屁みたいなもんや」

「ほんなら
 そう思うんでしたら
 やらせてください」