朱の蝶

約一年半、刑事施設に収容
された弦は、その後
この街に戻って来ていた。

千景がここへ戻ってくる日
を、今か今かと待っていた

「弦
 
 そろそろ、限界」

貴方は、抱きしめる腕を解き
私の伸びた髪に触れ、指に
絡ませた毛先に口づける。

「弦?」

「長い髪
 お前に、似合ってる」

「ねえ、キス、して?」

貴方の唇が、私の唇に触れる

「弦、続きは?」

弦は、悪戯に微笑み
その場に立ち、私の手を
強く握り締め、引き寄せる。

「千景、おいで
 帰ろう」