朱の蝶

今は、何も見たくない

何も聞きたくない

ここに、居たくない

あの日のように、また
この場所から逃げ出したい

逃げ出して、弦の元へ

そんな事を思いながら
涙は流れる。

どこにも、行けない・・・

『兄ちゃんは・・・
 最後までやり遂げへん奴は
 嫌いや・・・』

逃げたらあかん

どこでもない、ここが
私の居場所やから

『チカゲ、おいで』

重なる、兄の声と一新の声
二人の声はとても似ていた

一新・・・

お兄ちゃん

もう少ししたら、この手を
退けて、しっかり現実を
見るから、もう少しだけ
泣いてもええ?