朱の蝶

遠くから微かに聞こえる
救急車のサイレンの音。

「チカゲ、行くぞ
 ここに居ったらあかん」

一新に、痛いほど強く腕を掴ま
れた私は、ベッドに横たわる
傷ついたニイナを、一人残して
後ろ髪を引かれる思いで部屋
を出て行く。

走り出す車は何台も連なる。

すれ違う救急車・・・

「タスク
 ニイナ、大丈夫・・・?」

微かに震える千景の手に
触れる、祐の手。

「大丈夫ですよ」

「あんたが、そう言うなら
 大丈夫・・・」

祐の手が放れそう・・・

「タスク
 もう少しだけ繋いどいて」

温かい、祐の手。