朱の蝶

「親父、現れました」

「敵の領地に、たったあんだけ
 で来るとはな、女のくせに
 度胸、据わっとる
 
 さすがは、チハヤの妹
  
 あれ、でっ、どれが
 組長さんや?

 ここからやったら、どれも
 これも皆、男に見える」

「こっちから、二番目の奴が
 そうかと」

サングラスを外し、上を
見つめる千景の、その瞳。

「ほう、ええ女やなぁ
 
 なあ、あの横顔
 チハヤに似てないか?」

「そりゃ、似てるでしょう
 兄と妹・・・」

「チハヤが女やったらと
 俺は、何度思った事か・・・
 
 行くぞ、ついて来い
 
 お前等にも、あのイカ
 した声、聞かせたるわ」