朱の蝶

「貴女の命は、組全体で
 命に代えても守らせて
 いただきます

 貴女は、ただ
 そこにあるだけでいい」

彼が指差すのは、組長の席

大きく高級な黒い皮の椅子

「初代が愛しとった場所に
 貴女に、おってほしい

 嫌な事の一切は、全部
 ワシ等が今までどおり
 引き受けます

 貴女は、なんもせんでいい」

何もしなくていい

そこにあればいい

こうして、私は兄が作り上げ
愛した神前組の、二代目組長
になった。

名ばかりの組長・・・

女にできること・・・