朱の蝶

照れる私、弦は言う。

「チカ、見てみ」

弦が指差す方向を見つめると
そこには、みんなの姿。

浬さんや塁さん
チヨちゃんにマオちゃんが
『おいで、おいで』と私達に
手を降る。

「みんなのとこ、戻るか?」

「うん」

浮き輪を持って、波打ち際を
歩く弦に手を引かれて歩いて
いると、涙が溢れてきた。

どう足掻いたって、私は
ここには居られへん。

思い出になる出来事が
大きければ大きいほど
楽しければ楽しいほど

永遠に忘れることなんて
できひん。

弦、あんたは永遠に私の
思い出の中、生きる。