朱の蝶

「わりぃ、ごめん」

貴方の額を流れる雫が
キラキラと輝いて、きれいで
私は、見惚れた。

その時、太陽が雲に
覆われていくのと同時に
海の色が、どんどん深い色
に変わる。

「ゲンが、文句言うから
 太陽、隠れちゃったよ
  
 風まで出てきて
 肌寒いし・・・」

「でも、こっちの方が
 いいじゃん」

弦は、浮き輪を挟んで
私を抱きしめる。

私は、弦にしがみついた。
密着する、二つの体。

雲に隠れていた太陽が
顔を覗かせる頃

私達は、キスを交わした。