朱の蝶

『お前が、誰でも
 俺の想いは代わらない

 例え、過ちでも
 俺は、お前を愛している』

弦・・・

おまえは、震える手でチカを
抱いたくせに、いざとなれば
このざまかよ

情けねえ・・・

照りつける太陽の元

私は、借りた浮き輪に入り
弦は、その浮き輪に摑まる。

二人は、漂う。

遠く砂浜に、子供達と騒ぐ
浬さん達の姿が見える。

「クソ熱いなぁ
 脱ぎてぇ」

そう言って、弦は
ラッシュガードのジッパー
を片手で少しだけ下ろした

そして、海に顔から頭を
付けた後、顔を上げ頭を
振るう。

飛び散る雫・・・

「ゲン、冷たいよ」