朱の蝶

「お兄ちゃん、明日
 学校行きたくないねん」

パジャマ姿の私は、テレビを
見ながら、お酒を飲んでる
兄に、そう言った。

「誰かになんか
 意地悪されたんか?」

「ううん、ちゃうけど
 学校なんか行って
 なんの意味があるん?」

「意味なんかあるか
 行かなあかんから行く
 ただ、それだけや」

「ほんなら、行かんでも
 ええやんなぁ」

「勝ってにせえや
 
 でも、兄ちゃんはなんでも
 最後までやり遂げへん奴は
 嫌いやけどな」

そう言った後、兄はテレビを
見て、大きな声で笑った。

「お兄ちゃん、おやすみ」

「おう、はよ寝え」