俺は、以前と変わらない言葉
をもう一度、彼女に告げる。

「ハルカちゃん
 前に話したとおり、俺は
 君と付き合うつもりはない」

俺を見つめて、女は言う。

「そんな、じゃあ、どうして
 私を抱いたりしたの
 
 一度だけでなく、貴方は
 何度も私を求め・・・」

カタッ

ドアの前に立つ、私の存在
に気づいた女性は濡れた瞳
で、私を見つめた。

弦、貴方は振り返らない。

「付き合ってる方が
 いらっしゃるんですね」

「ああ、すまない・・・」

「他に好きな人がいるなら
 最初から、そう言って
 くれれば良かったのに
 
 私、貴方に求められて
 貴方に愛されていると
 勘違いしてしまった・・・」