朱の蝶

「いいのよ
 今日は、楽しかったわ」

車から降りる弦は驚いた顔
をしている。

「ゲンちゃん
 お帰りなさい

 チカちゃん、じゃあね
 お兄さんによろしく」

スコップを手に持って
隣のおばさんは帰って行った

「ゲン、お帰りなさい
 見て、きれいでしょう?」

荒れていた庭、花壇に花が
咲いている。

遠い昔・・・

今、この瞳に映る光景と同じ
いやっ、それ以上に、この庭先
には、多様な花々が咲き乱れて
いた。

『お兄ちゃんも
 手伝ってよ』

『そうよ、ゲン
 手伝いなさい』

『嫌だね
 男が花なんか弄って
 られっかよ』

『お兄ちゃん』

「何、やってる?」