朱の蝶

「いえっ、何も・・・」

私は慌てて、ドアノブに
手を触れる。

「貴女
 ゲンちゃんの恋人?」

ゲンちゃん・・・

この婦人は
弦の知り合いの人?

「いえっ
 兄が、親友で・・・」

「そう、貴女
 どこかにお出かけ?」

「はい・・・
 
 弦さんに留守を頼まれた
 のに、鍵を預かるのを
 忘れてしまって・・・」

「留守番って貴女だけ?」

「いえっ、兄は今
 寝ています・・・」