朱の蝶

私は、弦の背中に抱きついた

「着替え
 もう済んだのか?」

「うん」

振り返る貴方は、私の姿を
黙ったまま、見つめる。

そう、裸の体に付けたのは
黒い下着だけ・・・

貴方にありのままの私を
見せなきゃいけない。

白い肌に刻まれた針の跡・・・

貴方は、私から目を逸らし
吸殻を灰皿に押し付ける。

「風邪、引くから
 服、着ろ

 何かあるとは思ったが
 そういうことか?

 チカ、お前
 男から逃げてきたのか?」