朱の蝶

玄関へ向かう、チカの後姿

腰元にタオルを巻いただけの
弦は、その後姿を見つめる。

出て行ってしまう・・・

俺はまた、独りきりになる。

フードを被り、靴を履く私を
後ろから抱きしめる人がいる

背中から感じる温かい体温

さっきよりも香る匂いに私は
もう、自分の想いを止められ
そうにない。

「行くなよ
 
 どこにも行くな」

私は振り返り、半身裸の弦
に両腕を回し、しがみつき
その胸に頬を寄せた。

「ゲン?

 ここに居てもいい?」

「ああ」

「ずっと居てもいい?」

「ああ」