『ノルウェイの森』




この本に、何かあったのかな…?




でも、何て聞けばいいのか迷っていると…、




「村上春樹…、好きなの?」




脈を測り終えた蒼森さんが、少し苦笑しながら話しかけてきた。


俺は目を丸くして蒼森さんを見つめた。




だってさ、若い男に慣れてないハズの蒼森さんが、まさか仕事以上に話しかけてくるなんて…、思ってもみなかったから。


辿々しく尋ねてくる彼女の姿は、なんだか可愛く見えた。






「あ、あの…?」


俺の様子に戸惑っているのがわかる。


その姿に冷静さを取り戻して、


「村上春樹はよく読みますね。あと、東野圭吾も。」

微笑んで見せた。